きっかけ
今年(2025年 ※20250621修正「誤:2024年」)1月ごろ、光ファイバー網をNTT西日本に無償譲渡する、それにともない契約金額が変わるという説明会があった。
詳しく聞いてみると、すでに設備更新目安の10年を過ぎておりて更新費用が高いので民間に譲渡する。これにより、町の予算は充てる必要がなくなるとの事。一方で、町民の費用負担は増える。概ねこのような説明があった。
釈然としなかったが、まそういうものか、と納得しつつも、そう言えば以前に自宅(江尾)のネット回線契約を改善したくて調べていた時、ケーブルテレビ回線だと最大で10Gbps・極低遅延で接続できる。がしかし、江府町は鳥取西部で唯一敷設されていない町で、中海テレビが見れないことを知ったのを思い出した。
ひょっとして、NTT西日本以外の選択肢もあったのでは?そもそも5億円かけた設備が査定額ゼロというのは、あり得るのか?などとこの件に関して、疑問を抱きはじめた。
回線品質の影響
私は仕事がらビデオ会議をインターネット回線を通じて行う事が多い。江府町の回線品質は現時点でとても良好である。とくに遅延の少なさ(右の画像では14ms(千分の一秒))に満足していた。YouTube等を高画質で視聴するときは容量が大事だが、会議では会話のテンポに遅れない事が大事になるので。
いつ計測してもほぼ15ms以下。これであれば一般的にビデオ会議でもストレスなく行える品質らしく、実際に問題はない。安心していた。

議事録によると
これについて、議会ではどのような議論が行われたかを知ろうと江府町ホームページに公開されている平成22年からの議事録を”インターネット””光ファイバー”で検索してみた。以下のはその要約と議事録抜粋。これによると議会で議論はされていない。
議事録 p.5
[要約] 町内全域への超高速インターネット接続環境整備について、平成22年7月20日に指名競争入札を実施し、NTT西日本中国鳥取事業部を落札事業者に選定した。契約金額は約5億5,965万円(国の交付金活用)で、工期は翌日から翌年3月18日までとされた。計画では約80kmの光ケーブルを敷設し、全戸約1,200台のIP告知端末を設置して最大約200Mbpsの通信環境を構築し、定住促進や情報格差是正を図る。
議事録 p.25-26、 p.28
議会では、町内全域に光ファイバーを敷設済みであるにもかかわらず、利用率が約55%にとどまり、未加入世帯が45%存在する現状が報告された。加入率を向上させることで、NTT西日本の料金体系に基づき利用料の低廉化が可能となり、全世帯100%加入が理想との認識が示された。また、光ファイバー網整備に要した総事業費は約6億円であり、当初の定住促進・企業誘致・情報格差是正という目的の達成度や、住民への説明会を重ねて全世帯・全事業所に整備してきた経緯が述べられた。併せて、本事業に伴う起債(町債)は現在残高がないことも確認された。
議事録 p.18
町営光ファイバー網は平成22年度に総事業費約6億円で整備されたが、標準耐用年数10年経過に伴い多額の更新費用が見込まれるため、総務省ガイドラインに基づき公設回線の民間移管を決定。設備一式をNTT西日本鳥取支店へ無償譲渡する議案が承認され、今後の維持管理・災害対応をNTT西日本に委ね、町の財政・人的負担を軽減しつつ住民への安定した通信サービス提供を継続する。
平成22年7月27日(第5回臨時会)

令和4年3月8日(第2回定例会 第2日)


令和6年9月11日(第6回定例会 第1日)
令和6年9月27日(第6回定例会 第3日)


役場に確認したところ
議論も確認もなく決定するなんて事はなかろう と議会事務局に問いあわせてみたところ、
●議会事務局(2025年3月ごろ・電話にて)
それなら、議事録にある配布資料に詳しく経緯が書かれているのかも、と公開請求をしたところ、
●添付資料(2025年3月24日)
議会説明での情報の他に、「総務省のガイドラインに基づき令和4年から協議を行い合意に至った」とある。

契約を担当者に話を聞いてみたところ、
- 総務課 光ファイバーのご担当者(2025年5月)
「大きな契約なので町長から議会には何度か説明はしているはず」「契約は総務省ガイドラインに沿って適切に進めた」 との事。
参考:公設光ファイバケーブル及び関連設備の 民間移行に関するガイドライン 第 1.1 版
もし仮に、記録に残らない説明をされていたとしたら、町民はそれをどうやって知り得るのだろう.. 。議会や町長はその適切さをどのように立証するのだろうか…などと素朴な疑問を抱えた。
譲渡契約自体は適切
設備の導入段階からNTT西日本と進めてきた事業でもある点や、ガイドラインを始め役場としては人的および更新コストを最小限に出来る点、さらにはケーブルテレビ網とは同じ光ファイバーと言えども規格が異なる点から、それらからこの決定自体については、行政としては適切なものだったと思われる。
ただし、その結果、住民負担が上がっている点には留意がいる。
結論
町内でも50%の普及率を超えているインターネット回線は、私たちの私生活において大切なインフラの一つである。また、私のように域外とネット通信で仕事をする町民にとっては、収入や交通費に直ちに影響する重要な産業インフラでもある。それは今後の移住・定住・2地域居住のように人が動く際の決め手にもなり得る。
単に今回の契約内容だけではなく今後の町の発展を見据えるとなお、この議案に対して十分な議論・確認をしないままの議決は、2元代表制の一翼である議会の役割を十分に果たしていない、と言える。
